クマと付き合う責任−「ハリウッドスターだったクマの悲劇」ナショジオチャンネル

「ハリウッドスターだったクマの悲劇」という番組を観ました。
http://www.ngcjapan.com/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/523


ハリウッドで活躍している調教師のドキュメンタリーです。
自分のトレーニングしてたグリズリー「ロッキー」が
突然調教師のいとこを襲う事件を起こしてしまい、
どうして悲劇が起きたのかを検証するとともに、その後ロッキーとどう付き合っていくかを
模索していく様子を描いています。


ちょうど、事件を映した映像も残っていたので、かなり詳細に事故の原因を調べていました。
事件は本当に突然、いとことロッキーが隣に並んで立っている時に起こりました。
いとこは手をポケットに突っ込み、ロッキーは二本足で立っていて、
ロッキーがいとこを舐めるように顔を近づけると、いとこが軽く首をのけぞらせて避けたのです。
次の瞬間、ロッキーが彼の首元を噛み、地面に押し倒しました。
調教師がロッキーを引き離すために介入しても二、三秒の間噛み続け、それが致命傷になって
いとこは亡くなりました。


番組でははっきりと原因を断定していませんでしたが、示唆はしていました。
いつも調教師とロッキーはレスリングをやって遊んでいたのですが、
ロッキーがいとこをなめるような仕草をしたのが、レスリング開始の動作と
まったく同じだったのです。
レスリングの場合、調教師はロッキーがその仕草をしたときには、
必ずロッキーの顔を腕で押さえつけ、そこから二人が組み合ってレスリングが始まります。
これはトレーニングされた一連の動きだったのですが、
いとこが首をのけぞらせたのが、トレーニングされた動きとは違った動きだったのです。
それがロッキーの思わぬ行動を誘発してしまったのかもしれません。


事件後、動物行動学者も加わってロッキーの動きを分析し、ロッキーに殺意があったかどうかを
判断していました。
結局、明確な殺意はなかったということなのか殺処分は免れましたが、
それまで映画にも出演していたロッキーは一切檻の外に出られなくなりました。


でも、調教師は監督する役所と交渉を続け、檻の外での調教を再開しました。
もちろん、かなり慎重に。
調教師は大きな責任を感じる、と言っていました。
いとこの死に対しても、ロッキーの身に対しても。
彼にとってはロッキーを再びトレーニングすることが、いとことロッキーに対する責任なのです。


もちろん、動物愛護の観点からは、商売のために動物を調教すること自体が批判の対象になると思いますが、
人と動物の付き合い方としてなかなか考えさせられることが多い番組でした。