データから見るクマの生態−ナラ枯れはツキノワグマ出没の主な原因ではないかもしれない


今年のツキノワグマの出没について、多くの報道で
ナラ枯れによってツキノワグマのえさが不足し、人里にえさを求めるから」
という説明がされています。


それに対して、「ツキノワグマはドングリだけ食べているわけではないから、ナラ枯れが主な原因ではない」
という反論も最近見かけます。
気になって関連資料を調べたところ、面白い資料を見つけました。


まずはナラ枯れのデータ。


林野庁 ナラ枯れ発生状況
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare.html


平成12年から平成21年までの被害状況(立方メートル)をグラフにしています。
平成12年が3.2万、平成21年が23.0万で、少しばらつきはあるものの右肩上がりの傾向になっています。
平成22年のデータがありませんが、ナラ枯れの被害が拡大していると大きく報道されていたので、
右肩上がりの傾向にそって平成21年より被害面積が多いと思われます。


それに対して、ツキノワグマ捕獲数のデータ。
http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/capture-qe.pdf

平成18年-4846頭、平成19年-948頭、平成20年-1024頭、平成21年-1081頭、平成22年-2637頭


もしナラ枯れツキノワグマ出没の大きな原因なら、右肩上がりに捕獲数が増えているはずですが、
まったく右肩上がりではありません。
四年前が一番捕獲数が多く、平成19年から21年はその1/4程度しかありません。
このデータからでは、ナラ枯れが主要な原因とは言えないようです。