ツキノワグマの個体数について、補足

昨日、ツキノワグマの保護対策のためには
全国的な個体数調査が必要ではないか、と書きました。
これは私個人の意見でもありますが、
ツキノワグマの殺処分反対派だけでなく、殺処分賛成派からも聞こえてくる意見です。


殺処分賛成派の意見


読売新聞「クマ狩猟自粛」に反発
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101102ddlk25040446000c.html

県の保護管理計画は今年度からスタートした。県内のクマの生息数を740頭と推計し、12%にあたる88頭を、駆除の上限とした。石川、福井両県でも、生息数の約1割を基準に上限を設けている。
 計画に対しても、会員(註:富山県猟友会)から「柔軟に対応すべき」「そもそも生息数が推計値に過ぎない」と反発が根強い。こうした会員からは、有害捕獲や狩猟を合わせて40頭にとどまった昨年度の分も考慮すべきとし、「1年ごとではなく、長期的に計画を立てるべきではないか」という指摘も出ている。


しかし、ツキノワグマの個体数調査が難しいこと、さらには個体数調査よりも大事なことがある、
と主張している論文がありました。
ここに紹介します。


日本哺乳類学会 webサイトより


岸元 良輔, 佐藤 繁. 2008. 長野県ツキノワグマ保護管理計画における生息数のモニタリングとその課題 . 哺乳類科学, 48: 73-81 .

http://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/48/1/48_73/_article/-char/ja

2007年の計画では,固定した捕獲上限数を設定していない。これは,様々な仮定に基づくこれらの推定結果の信頼性は疑わしいためである.正確な個体数の推定よりも,クマ個体群の動向を監視することのできるモニタリング手法を確立することが,日本のツキノワグマ個体群管理における最も重要な課題である。

(引用元ページに論文PDFあり)


そう簡単にツキノワグマの個体数を推定できるものではないようです。