地雷を踏む東京都と東京都議会(特に民主党議員)


日本テレビが「東京都の性描写規制案、可決が確定的に」というニュースを流していますので、緊急で懸念を示す記事を書きます。
http://news24.jp/articles/2010/12/10/07172180.html

 悪質な性描写のある漫画などを18歳未満に販売することを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、都議会最大会派の民主党が賛成する方向を固め、改正案が可決されることが確定的になった。

 都議会民主党は10日、議員総会を開き、結論を役員会に一任することを決めた。民主党・大沢幹事長は日本テレビの取材に対し、「規制対象がわかりやすくなり、賛成する方針だ」と話し、改正案は15日、自民・公明・民主の賛成多数により可決されることが確定的になった。

出版業界大手が構成するコミック10社会が東京都のマンガ・アニメ規制条例改正に
反対を突きつけたことによって、
今回の条例改正を強行することによって地雷を踏むのは
東京都と東京都議会(特に民主党議員)であることがはっきりしてきました。
その理由は以下の通りです。


1.東京国際アニメフェアが機能不全に陥ることによって、
主催者である東京都の信用が失墜する。
また、アニメフェアによる経済効果も失ってしまい、経済的打撃も受ける。


2.出版業界が捨て身の反対を行なっているにも関わらず条例改正を強行すれば、
東京都議会への信用が失われる。
特に、3月の時点では反対をしていた民主党が業界への根回しなしに賛成にまわることは、
民主的手続きを無視する、つまりは有権者の意向を無視することになる。


1.について補足しますと、
東京国際アニメフェアは2002年に開始したときは来場者5万人、出展者数104、
海外からの来場者数231名でしたが、
2010年には来場者13万人、出展者数244、海外の来場者数1204名と順調に伸びてきています。
アニメのマーケット拡大にも、一般のファン層の広がりにも貢献してきたイベントを、
開催者自ら、しかも首長である東京都知事の放言も後押しして台無しにしてしまうことは、
東京都の信用を地に落とすことになります。


2.で重要な点は、東京都及び都議会が出版業界とのすり合せを行なっていなかったことが
明るみになってしまったことです。
石原都知事は「わけのわからない輩が条例に反対している」と放言していましたが、
出版業界のことも「わけのわからない輩」と斬り捨てるつもりなのでしょうか。
東京都は答弁で業界と調整を行なってきたと発言していたようですが、
いったいどこの業界と調整をしてきたのでしょうか。


この点については、こちらの河合幹雄教授の言葉を引用します。
http://kawaimikio.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/4-5601.html

 11月22日に不意打ちで仕掛けた条例案について、民主党都議の首脳は、話し合いをして調整してきたから賛成しなければというが、漫画家、出版会は、全く話し合いさせてもらっておらず、ここで首脳だけで他の会派と話し合っても、これは和解案ではない。漫画と出版に通じた人間を話し合いに入れないでは、日本流の、議会外でよく話し合う民主主義にすらなっていない。漫画と出版を理解していない者が、二三日で条文をいじってもダメである。継続審議にして、きっちり議論することが正論である。


河合教授の言う通り、これほど反対の気運が高まっているのに、拙速に採決する意味が分かりません。
民主党都議には、いまいちどこの問題を熟考されることを願って止みません。