東京都がマンガ規制の条例案を再提出へ−本質は何も変わらず
政治ネタは基本的に書くつもりはなかったのですが、
この問題は他人事ではないので取りあげます。
書店に対し、一般書籍と分けて置くよう求める漫画、アニメの対象は、性的暴行、近親婚など刑法や民法に触れるような「性交または性交類似行為」を「不当に賛美」する作品などと定義し直した。
今年春に提出された法案と本質的に変わっていません。
この条例案の本質とは、マンガやアニメを法律で規制しようとすることです。
その本質は憲法21条に違反するのでは、と思うのですが、そんなことはないのでしょうか。
「未成年への悪影響を防ぐべきだ」という考え方でこの法案ができたのでしょう。
しかし、法案がやろうとしているようなゾーニングは、
法律で強制するべきでなく、業界(小売、出版)が自主的に行うべきです。
法律で表現を規制するということが成立してしまったら、
ほかにも出版・表現の自由への規制が進んでしまう可能性が大いにあります。
東京都が春に改正案を提出した時は、出版界、作家、研究者から反対意見が多数出ました。
条例案の問題点が理解しやすくなる記事を紹介いたします。
「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/15/news074.html
●改正案問題点のまとめ
改正案の問題点として、(1)あいまいな規定でいくらでも恣意的に解釈でき、幅広い作品が対象になり得ること、(2)漫画などの表現に対する萎縮効果が高く、日本のコンテンツ産業に大きなマイナス影響を与える可能性があること、(3)審議期間が極端に短く、拙速に成立に向かっていること――などが指摘された
●「自分の作品が規制されてしまう」−作家の危惧
「わたしの作品『風と木の詩(うた)』は対象になるだろう。都は『対象ではない』と言うかもしれないが、自分自身は対象だと感じてしまった」――竹宮さんは漫画表現への萎縮効果を懸念する。「新しい性に関する知識を少年少女に与えなくては危ないと感じて描いた。純粋培養では少年少女は“健全”にならない。漫画はエネルギーを逃がす弁として存在するはず。ある程度強い刺激でないと、弁を開けない人もいる」(竹宮さん)
●素朴な悪影響論を否定
宮台さんは、「青少年の性行為を描いたコンテンツが青少年に悪影響を与えるという素朴な悪影響論は学問的には否定されている」とした上で、「誰と見るかなど、コンテンツの受容文脈をコントロールすることが最善」と指摘。「最善の策を取らずにいきなり次善の表現規制に飛び込むのは怠慢」と批判した。
●権力が表現に介入する危険性
「文化や芸術はその時代の倫理や教育とかい離がある場合があるが、それを描くことも役割だ」――呉さんは文化論を展開。「例えば井原西鶴の『好色一代男』は、6歳の少年時代からの性の遍歴を描いている。1つの人間の姿を描いているのだから、単純に倫理の問題として裁断し、政治が介入するのは危険」(呉さん)
今後もこの問題は注視していこうと思います。